牛養いの前は、トラック乗りだった志朗さん。今でも、トラック仲間の集会には家族で顔を出すこともあるという。大好きな仕事を辞めて家業を継いだのは、26歳のとき。以来、持ち前のワイルドさで、ひとりで100頭以上の牛を養っている。強面顔の志朗さんだが、人好きで、笑顔がキュート。現在は、長男のりき君や長女のみゆちゃんが通う小学校のPTA会長を務めて、地産地消の食育に燃えている。
自慢のトラックの内装は、花籠模様。「年中無休」「牛屋稼業」「E.YAZAWA」のステッカーと共に。
餌やりは力仕事だ。牛一頭が食べる一日の餌の量は、14~15kg。生まれたときは30kgの牛を、出荷するまで一日1kgずつ増量させていく。機械化が進む中、「手でやる方が牛の様子がわかるから」と、フォークを持つ右手に鍛えられた筋肉が浮かぶ。
牛舎がある場所は、山の中。夜にはイノシシが飼料を求めて山からおりてきたり、鹿がぴょんぴょん青草を食べにやってくる。そんな環境で育った林田家の牛も、志朗さんに負けず劣らずワイルドだ。