「神話と伝説が宿るまち」と言われる高千穂。この地に暮らす人々は、神の使いとされる牛を家族のように大切に育ててきた。山々に囲まれた土地柄もあり、米づくりのために遠くの水源から水を引いてくることで、今の美しい棚田の風景が形成された。高齢化が進んだ今は、代々築いてきた伝統や暮らしを守り伝える役は、江藤家の主・賢二さんの代へ。人手不足の農家さんたちの稲作を引き受けながら、高千穂ブランドの牛を育てる賢二さんは、まちの若者たちの兄貴分として慕われていた。
高千穂にある石上神社の御神体「面様(おもてさま)」。神楽面にツノがあるのは珍しく、牛馬の守護神として敬われている。12月の夜神楽では、牛神面として面様が用いられるそう。
高千穂では、牛舎の前に、御幣(ごへい)や注連縄(しめなわ)などを張る風習がある。この額は牛を象った「彫り物(えりもの)」。賢二さんは、毎日神棚の前に座り、神様へのお参りを欠かさないそう。
賢二さんが発足した、牛養いの若者会「盛牛会(せいぎゅうかい)」。入会条件はひとつ、根性があること。「彫り物」柄の揃いのTシャツを着て、この日はみんなで牛の蹄を切る作業。
威勢のいい若手陣に負けないほどパワフルだった、“高千穂ガール”。平均年齢は80歳!こちらは、品評会に参加中。