「宮崎牛」は、子牛を生産する繁殖農家さんと、その子牛をお肉になるまで育てる肥育農家さんが一緒になって育てるブランドです。ブランドが誕生して30年以上。それ以前から、宮崎は、全国各地の銘柄牛の素牛(もとうし)の生産が盛んでした。現在、「宮崎牛」は登録農家である266戸を中心として、年間約18,000頭が流通しています。そして毎年、大相撲の優勝力士には、宮崎牛一頭分を贈呈しています。
良い牛の条件として、農家さんは口を揃えて「血統と餌」そして「愛情」だと話します。
「宮崎牛」を名乗れる条件は、
厳選された条件の中で育った「宮崎牛」だからこそ、「血統」は保証されています。「よく食べ、よく寝る」という基本的な育て方は同じなのですが、もうひとつの「餌」に関しては、各農家さんの個性の見せ所です。
2007年には、和牛の祭典と言われる第9回全国和牛能力共進会※1で日本一を達成した「宮崎牛」でしたが、2010年に発生した口蹄疫により、297,808頭の家畜が尊い命を失い、宮崎県全体の暮らしを大きく揺さぶりました。県外に被害を及ぼさないようにと、家族のように育てた牛たちを自分たちの手で殺処分するという、とても辛い事態が起きたのです。中には経営が立ち行かなくなり、牛農家をやめる人も……。
それでも「負けるもんか!」と、ブランドとしての「宮崎牛」をここまで復活させることができたのは、たくさんの方々のサポートと、農家さんが牛に対する愛情を絶やさなかったから。口蹄疫発生から2年後の2012年には、第10回全国和牛能力共進会で2連覇となる日本一を達成。2017年には史上初、3大会連続で内閣総理大臣賞※2を受賞しました。
嬉しことも、楽しいことも、いろいろな経験を経たからこそ、一頭一頭愛情を込めて大切に育てる家族がいる。それこそが「宮崎牛」の一番の自慢かもしれません。
注釈
※1 全国和牛能力共進会
1966年より開催されている、5年に1度、全国から選りすぐりの和牛を集めて行われる品評会。
※2 内閣総理大臣賞
全国和牛能力共進会における最高名誉賞。1〜9区で優等首席を獲得した牛の中から、種牛部門と肉牛部門に、それぞれ1つ与えられる。